秋芳さんの幸せ

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愛柚はんが初めてイカはった日。 一瞬、意識を飛ばさはって、その間も身体中を痙攣させてはった。 あの日を、わては一生忘れへん。 恋愛に不慣れな愛柚はんは、当然男はんも知りはれへんかった。 何も知りはれへん真っ新な愛柚はんを、この手で一つずつ丁寧に華開かせたったゆうのは、わての勝手な思い込みやろうか。 抱き締めれば固まらはって、キスをすれば頬を真っ赤に染めはって、それでもその瞳は少しずつ欲をはらんで潤んできはる。 花びらが一枚ずつ綻びていくかの様な愛柚はんの変わりようを見るのんが、わての歓びやった。 愛柚はんが、どこかあどけさの残る少女の顔から、時折わてが驚くほど色気たっぷりな女の顔でわてを見るようにならはった時。 そん顔を向けられたわては焦った。 そないな色気を振り撒きながら街を歩かれたら、その辺の男はんが、みぃんな愛柚はんに心を奪われてまうやおへんか。 そんなん、わての身ぃが持たへん。 わての知らん誰かに手折られてまう位やったら、その前にわてのこん腕ん中で優しい優しいに大人にしたる。 こんわてが愛柚はんの初めての男はんになりとおす。 わてが、こないに欲深い男やとは、愛柚はんに出会うまでは知らんかった。 自分の事やのにな。
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