双子

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女の子には双子の親友が居ました。 お姉さんの方は明るく、お喋りで、いつも元気いっぱい。おやつも沢山女の子に持って来てくれました。 一方、妹の方はいつも暗くて無口、おやつのおみやげもありません。一緒に遊んでても、つまらない子でした。 双子は交互に女の子の所を訪れて、一緒に来ることはありませんでした。 ですから女の子は、お姉さんの方が来る時は、とっても楽しみで、妹の方が来る時は退屈でした。 ある日、女の子はこう考えました。あんなつまらない妹の方と遊ぶ必要は無い、明るいお姉さんの方にいつも来て貰おう。 女の子は次の日、妹の方に言いました。 「あなた、今日から家に来なくて良いわ。私はあなたのお姉さんとずっと遊びたいの」 妹の方は悲しげに言いました。 「そうなったら、私はもうあなたの所に来られなくなるわ。ずっとお姉さんが来ることになる。それでも良いの?」 「それが良いの」 女の子はぴしゃりと玄関を閉めて、暗い妹の方を完全に追い出してしまいました。 それからはずっと、お姉さんの方が遊びに来ました。おやつを持って、お喋りはひっきりなしです。 女の子は最初、とても喜びました。これからは一日中、楽しいお喋りとおやつが食べられるのです。 でもこんな生活、長くは続きません。当然です。一日中、お喋りしたら疲れます。おやつだってお腹いっぱいになったら食べられません。 女の子は休みたくて仕方ありません。静かに横になりたいと思いました。でもお姉さんの方が一日中側に居て、それを許してくれません。 「お願い、少し静かにして。おやつもいらない。あなたの妹はいつも静かで、私とてもゆっくり出来たのに」 するとお姉さんの方が悲しそうに答えました。 「それは無理よ。私達は二人で一つだったのに、あなたが無理に追い出したんでしょ。だから私がずっとここに来るしか無いの。でもあなた、どうして妹を追い出してしまったの?あなたには私と妹が必要だったのに。暗闇と光、両方が揃って無いといけなかったの。でもあなたは光しか見て無かった。ああ、私のかわいい妹の夜中の三時はどこに行っちゃったのかしら」 とお姉さんの昼の三時が、珍しく悲しげに言いました。
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