あまのじゃくな彼女

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ーーあぁ、まただ。 窓から外を見て、ため息を一つ吐く。 訳の分からないイライラが、私の心を襲う。 もどかしいような、思い通りにならないような、胸を掻き毟りたくなるほどの焦燥感。 例えて言うなら、ずっとボタンをかけ違えていたのに、最後の一穴になるまで気がつかなかった時の恥ずかしさと、全部やり直さなければいけない面倒くささと、出掛けるまで間もないのに、と焦り出す気持ちが全て渾然一体となったような……そんな感情。 どうにもならない気持ちを抱えながら、私はピシャリと乱暴に窓を閉めた。 「こら。もう少し優しく閉めろ」 横から咎めるような声が聞こえたけれど、聞こえないふりをする。 だって、いきなり雨が降り始めたんだから。 すぐ閉めないと、店の中が濡れちゃうでしょ。 ……雨なんて、大嫌いだ。
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