第五章 『初めて君に、会ったとき』

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 今日は雨が降りそうな曇り空、室内は薄暗く、珍しく図書室が若干不気味に思えて、あたしはカウンターに入って下の棚から資料を探していると── 「……ックシュン」  誰もいないと思っていたから、肩がビクついて、顔を上げる。  よく見ると、奥の席に一人の男子生徒が座って、本を読んでいるのを見つけた。  そして、眼鏡の横顔を見たことがあるような気がして……あれは多分千広君だ。  弓道部は意外でも、想像どうりで本は好きなんだなぁ。
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