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幼い者達を守る氷
土塊に操られた二人は巨神像に激突していった。
どこまで馬鹿馬鹿しい。静也は言葉を失っていたが、気がつくと涼白の姿は消えていた。
静也は思い出した。この公園は静也達だけではない。家族連れ、とりわけ涼白さんとすれ違った小さい兄妹達を、涼白さんは眩しそうに見つめていたのだった。
突如降って湧いた大規模な破壊に逃げ惑う兄妹の元に、涼白さんは向かっていったのだった。
無数に沸く異世界の魔物は狂乱し、周囲を破壊していた。
「お兄ちゃああああん!」
「お前は逃げろ!美代子!」
幼い兄妹の美しい姿があった。
幼い妹に魔物が迫ろうとしたが、直前で立ちはだかる白い影があった。
「お、お姉ちゃん?!」
「美代子ちゃんね?あのね、私ね、普通の女の子じゃないの。怖がらないで、私は、貴女達の味方だから」
決意を胸に、涼白さんの体は変異していった。白く輝くブリザード。その体は、曇天の中に仄光を発して見えた。そして、兄妹と魔物達は氷に閉ざされた。
「お兄ちゃん。お姉ちゃんが」
「あ、ああ。凄い。カッケー」
美代子は、心を奪われたように、自分を守りかばう白い妖魅を見つめていた。
「変異すれば私だって。荒れ狂え!氷の刃!触れる者を凍て付かせ、侵す者を切り裂け!」
居並ぶ妖魅達は、次々に切り裂かれ、凍りついていった。
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