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病み童貞神立つ
大日本遺跡展は、最近出土された全国津々浦々の様々な出土品を展示すると言うものだった。
考古学的な意味は全くないが、寧ろ歴史的な遺物に霊的意義を求める動きは確かにあって、このイベント自体祓魔課と稲荷山グループが後援している催しだった。
例えば、岩手の開発の際発見された腕輪の類は縄文期の出土品だったが、説明書きによると蛇神信仰の祭具だという。
蛇巫女がこの腕輪をつけて蛇神の前で踊っていたようだった。
他にも様々な遺物はどれも霊気を帯びていた。
「要するに古代宗教展じゃないの。影山、まだイライラしてんの?しょうがないじゃない。涼白は精神的に幼児なんだから、紀子がプロデュースしたデニムのミニスカの中無防備に晒してる可能性はあるわね。おぼこ全開のパンツ、いや、莉里のことだから静也煽ってるわね。紀子が履いてたスキャンティー辺り穿かされてんじゃない?ローライズの活動的な奴。ミニスカは勿論落ち着かなかったんじゃないの?半ケツ見られたら恥じらい死にしそうだけど、無自覚に尻晒してるから静也あたり襲いかかりそうね。フロントに回れば白いフワフワのハミ毛が見えるでしょうね」
「ウブ!ぶはあ!」
二度めの噴射があった。無関係なカップルが慌てて逃げていった。
許さんぞ。風間静也!ウブで騙し易いからといって、涼白のパンティーに指をかけるとは!スキャンティーの縁からちょっとはみ出した涼白の毛を指先で弄び、あわよくばその下の肉の突起を指先でコリコリするなど絶対許さん!
涼白のパンティーはお兄ちゃんが守るぞ!絶対に!
「ああこのシスコン馬鹿が。私がいることを忘れるな。こんな可愛い文学系美少女がいるのに。あんた、私が貸してた本みんな読んじゃったんでしょう?お代わりは?アマゾンで買ってやるから」
「存在と時間の続編が読みたい」
「ありゃあ未完で終わりなんだって。佐藤大輔と同じよ。万歳で終了すんのよ。マインフューラー万歳ってことで」
「ハイデッガーはファシズムとは無関係だ」
「はっ。ハイデルベルク大学で無茶苦茶ファッショな演説かましてクビになってるでしょうが」
「むう。そういうこともあるのか。大学の学長になったのは純粋に哲学者としての功績と思っていたのだが。ああ!涼白が欲情している!何があった?!卑猥な想像で頭がいっぱいになっている!絶対に許さんぞ風間!」
「それよりも文系美少女の話はどこいった?ああ。何これ、栃木で発掘?ふうん昔海だったんだ。インカでもこういう巨顔信仰あったし、日本にもあったんだ。まあ一部だけだけど」
「聞こえる。声が。ああそうだ俺は未経験で可愛い妹の裸体を見て育っーー違う!俺はシスコンじゃない!ああそうか。確かに。お兄ちゃんは一生妹を守る。妹の裸体を風間が舐め回すなど許せん!涼白は永遠におぼこのままお兄ちゃんと幸せに生きる!そうだろう!涼白のパンティーは完全未使用のパンティーだ!」
「何を交信してんだお前は。会話内容は察するに気持ち悪すぎるぞ。どこまで病的なんだお前は」
「むう。今理解した。この巨顔は不完全だ。体はまだ埋まっている。こいつは異世界の、アースツーの神だ」
「こないだやって来て子作りしまくってた世界的に恥ずかしい国辱犬勇者のいた世界か?涼白のうなじを狙ったんだったな」
「そうだ!涼白のうなじの匂いなどこの俺ですら嗅いだことがないというのに!そうだ!こいつは何故かアースツーからハブられてこっちに戻ってきた!どういうことだ?!そうなのか!こいつは童貞の守り神だった!こいつを信仰する神官は童貞のまま死んでいった!その上で問おう!お嬢様!お前はおぼこか?!」
「小2で経験済みならおかしいだろうが。っていうか何様だこいつは?」
「ああそうか!処女童貞の守護神は怒っている!何故ならここにいるカップルはどいつもこいつも海浜公園オシャレ青姦をするどうしようもない連中だ。ああ!涼白が!不味い!涼白のパンティーを守らねば!お前もそう思うだろう?!共にヤリチンに死を!何?!ハードゲイ など知るかあああああああああ!涼白!いやアリオトおおおおおおおおおおおお!!!」
地面が振動していた。巨顔の土は拭い去られ、剥き出しになった顔の目が輝いた。
つまり、こうして巨神像は残念な兄とリンクして、その巨体は立ち上がり、動き出したのだった。
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