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「それにしても、あれは凄かったなあ。お前がああいう奴らが嫌いなのは知ってたが、あそこまでやるとは、なかなかやるじゃないか」
そう言うと翔太は、京介の肩を小突いた。
「なあに、あれくらい楽勝さ。しかもあのリーダー、ビビってその場でぶっ倒れてやがった」
「はっはっは、あれはスッとしたぜ。ありがとよ」
翔太は、今度は京介の背中をばんばんと叩いて言う。
「まあ、自業自得だぜ。むしろ、クズはあれくらい惨めな姿にならなきゃ、ずっと調子に乗ってるからな」
「一生白目剥いとけってか?」
そう言うと、京介と翔太はへらへらと笑った。昼間から宅飲みするというのは、二人の間では恒例行事となっていた。何か面白いこと、愉快なことなど、とにかく何かあればこれをして、盛り上がるのだ。
そして今日一番盛り上がっているのは、京介である。相変わらず部屋の僅かな赤色が気になるが、完全に舞い上がった京介にとっては、もはやそれは些細なことだった。
京介がここまで有頂天になった理由は、酒の力もあるが、何よりも遥と交際することが出来たからだ。あのあとすぐに遥と二人で話すと、拍子抜けするほどあっさりと交際を認めてくれたのだ。
彼女は口紅を気持ち悪い程塗りたくったりしないし、ピアスもつけない。京介はあの生意気な女子高生の顔を思い浮かべ、それから遥を見た。そして改めて、心から例の連中を軽蔑したのだった。
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