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滝森京介は目覚まし時計のアラームで目を覚ました。騒ぎ続ける時計を静めると、デジタル表示の時刻を見る。アラームは6:00にセットしたのだが、すでに6:15と表示されていた。
京介はそこからさらに一分ほどの時間をかけ、ようやく体を起こした。
目を開けるとそこは、六畳ほどの汚い部屋があった。京介が住むアパートはかなり年季が入っている代わりに、風呂トイレ付きで家賃もそこまで高くない。
大きなあくびをして目をこすると、壁に張り付いた謎の汚れが鮮明になって目に飛び込んでくる。その後に、煩雑に本が積まれた本棚が汚いカレンダーと続く。京介はもはや見飽きた光景に小さくため息をつき、床に転がったテレビのリモコンを拾った。
テレビの電源をつけると、毎朝見ている朝の番組が始まっていた。京介はこれを見ながら身支度をするのが日課になっていた。
そして今日も京介はいつものように、特に興味もない企画を眺めながらパジャマを脱ぎ始めていた。
そのとき、突然テレビの画面に違和感を覚えた。だが、何がおかしいかと言われればはっきりとは分からない。最も近い表現をするなら、いつもより画面が明るく鮮やかに見えた、といったところだろう。
京介は再びリモコンを拾い上げて、テレビの明るさを調整した。しかし違和感は消えない。自分の目がおかしいのかと思い目をぱちぱちさせていると、占いのコーナーが始まった。すると、それと同時に、その違和感はどこかへ行ってしまった。
京介は首を傾げて、明るさをもとに戻した。京介はしばらくこの不可解な出来事について考えていた。だが、女性アナウンサーの、十位は牡牛座のあなた、という声を聞いて、すぐにそんなことは忘れてしまった。
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