4

1/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ

4

「それにしても、あれは凄かったなあ。お前がああいう奴らが嫌いなのは知ってたが、あそこまでやるとは、なかなかやるじゃないか」  そう言うと翔太は、京介の肩を小突いた。 「なあに、あれくらい楽勝さ。しかもあのリーダー、ビビってその場でぶっ倒れてやがった」 「はっはっは、あれはスッとしたぜ。ありがとよ」 翔太は、今度は京介の背中をばんばんと叩いて言う。 「まあ、自業自得だぜ。むしろ、クズはあれくらい惨めな姿にならなきゃ、ずっと調子に乗ってるからな」 「一生白目剥いとけってか?」  そう言うと、京介と翔太はへらへらと笑った。昼間から宅飲みするというのは、二人の間では恒例行事となっていた。何か面白いこと、愉快なことなど、とにかく何かあればこれをして、盛り上がるのだ。  そして今日一番盛り上がっているのは、京介である。相変わらず部屋の僅かな赤色が気になるが、完全に舞い上がった京介にとっては、もはやそれは些細なことだった。  京介がここまで有頂天になった理由は、酒の力もあるが、何よりも遥と交際することが出来たからだ。あのあとすぐに遥と二人で話すと、拍子抜けするほどあっさりと交際を認めてくれたのだ。  彼女は口紅を気持ち悪い程塗りたくったりしないし、ピアスもつけない。京介はあの生意気な女子高生の顔を思い浮かべ、それから遥を見た。そして改めて、心から例の連中を軽蔑したのだった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!