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 レジに入ってまず、京介はとっさに目を伏せた。レジ内の奥に、真っ赤な消化器がおいてあったからだ。さらにその横には、AEDまで設置されていた。  そこでふと、京介は気になった。一体どのくらいの「赤」だと眩しく感じるのだろう。消化器などはもちろんアウトだが、例えば商品パッケージにある僅かな赤色ならどうか。今日一日を乗り切るためにも、安全な色のラインを知る必要がある。  京介は意を決して顔を上げると、店内をざっと見渡した。なんとなく、いつもより店内が明るい。  ふと、ガラスケースに視線が動いた。そこには、あらびきソーセージが置かれてあった。京介の意識が一気にソーセージに集中し始める。だんだん目が痛くなってきた。  京介はとっさに手で目を覆った。そして、心から絶望した。確かにソーセージも赤色といえば赤色だ。しかし、これでアウトなら状況はかなり厳しいものになる。  そういえば、今朝見たテレビも画面がやけに明るかったが、アナウンサーやゲストの服、テロップなど、ところどころに赤色があったのではないか。それら全てに目が反応した結果、全体が眩しく感じられた。この店内でも同じ現象が起きていたのだ。  つまり、どんなに僅かな箇所の赤色でも、赤色と呼べるかどうかという微妙な色でも、全て赤色と判断されるということだ。
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