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「──……知ってた」  ──やっぱり。  避けていたことは、バレバレだったのだ。それなら、きちんと伝えるべきだった。 「本当に避けていてすみませんでした!」  申し訳なくて柚希は俯いた。 「顔を上げてくれ。いや、違うんだ。ユズが男ってことを知ってたんだよ」 「え? な、なんで?」  佐々木とは、偶然男の時に会ったことは無い。カフェの前で偶然に見かけたことはあったが、それは柚希が一方的に見ただけだ。  どこで男の自分を見られたのだろうか。お店では完璧に女装していたし、今までのお客さんにも、一緒に働いている女の子にも見抜かれたことは無かった。  黒目がちな瞳をぱちくりさせながら不思議そうに首を傾げる。すると──。 「ひざまくらだよ」と、佐々木はゆっくりとした優しい声音で種明かしをする。 「ひ、ひざ……まくら?」 「あぁ、そうだ。お前のひざまくらだよ」  その答えがよくわからなくて、顔をしかめた。 「初めてユズにひざまくらをされた時には、なんにも思わなかったんだよ。女の子の恰好をしているし。でもな、二回目の時に違和感を感じたんだ」 「違和感?」 「あぁ。お店で会えなくてすれ違っている間、他の子にも俺がしてもらったっていうのは、もちろん知ってるよな?」  それは知っている。何度もチェンジを繰り返していたって店でも話題になっていたのだ。
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