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「他の子は、とても柔らかくて逆にそれが俺は、しっくりとこなかった。ユズの筋肉の付き方とか少し硬いところとかが、これだって思ったんだ」
「でも、筋肉質の女の子だっているし」
「まぁ。そういう女の子もいるけど。でも、決定的だったのは、目覚めた時に膝の上から見る首かな」
「首?」
「のどぼとけだ」
──あっ。
男にはあって、女には無いもの。最初から佐々木にはバレていたということか。それなら、なぜ指摘しなかったのだろうと次の疑問が浮かぶ。
「言ってくれてもよかったのに」
真っ直ぐ見つめる柚希の視線を逸らし「そんなの関係ないだろ」と少し照れたような仕草でぶっきらぼうにいう。
「でも……なんでですか?」
お金を払っているわけなのだから、クレームを入れてもいいはずだ。なのに、しなかった。それはどうしてだろうと疑問に思う。
「俺は、ユズを気に入っているんだから」
──……気に入っている?
佐々木は、自分を毎回指名してくれていた。それは、気に入っていたからこそで……。
「でも、お店は女の子もたくさんいたし」
「ユズじゃないと眠れない。それは、お前が一番知っていることだろ」
他の女の子が佐々木を接客しても眠れず、次に柚希と会った時には、最初に出会った時と同じようにあっという間に膝の上で寝息をたてていたのだ。
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