ビター・スゥイート・ホーム

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「ごめん。美玖は、押しが強くて何度も断ったんだけど、押し切られてしまって……」 「でも、今日来るなら俺は、こんな格好」 「それ、俺のために着てくれたのか?」 「月末だし、仕事で疲れて帰ってくるから、癒そうと思って久々に女の子の服着たのに、他の人……元奥さんに見られるなんて、最低っ!」  口を真一文字に結び、拳をギュッと握り直し俯いた。  ポンポンと、頭を軽く叩きながら佐々木は「ごめんな」と優しい声音で謝る。 「柚希くん、ごめんね。雅人が、本気で好きだっていう子に会ってみたかったのよ。本当に雅人のことを思ってくれてるのね」 「そ、そんなの当たり前です!」  俯いていた顔を上げ、美玖を見る。 「佐々木さんが俺にくれる愛情を返してあげたいし、そりゃぁ、年下で頼りないかもしれないけど、誰よりも佐々木さんを想ってるから」  美玖は、柚希のその言葉を聞いて微笑みながら口を開いた。 「そう……安心した。柚希くんが、あのどん底だった雅人を救ってくれたんだもんね。私じゃ、あの時の雅人を助けることは出来なかったし、雅人をよろしく頼みます」  深いお辞儀をした美玖は、椅子から立ち上がって鞄に手をかける。
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