最高のいとこ、最高の友達

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「瑞希が……負担に思わなければいいんだけど」 「そんな頻繁に立ち入り調査しに来るなーって言ってほしいの?」 「っフフ、そんなふうに思ってたの。じゃさっさと帰してくれればいいのに……」  と言いつつも腰を上げない俺を見て、瑞希も腰を上げなかった。 「――あー、そういうんじゃないけど」と言ってカップの持ち手を落ち着かなさそうに撫でている。 「職場が同じだと彼とは毎日顔合わせてるよね? それでいっか、みたいな感じなの?」 「まあ……趣味とかほとんどかぶってないし、一緒にいてすることが……お喋りくらい?」 「家でゆっくりお喋りって結構落ち着くしいいと思うけどね。……好きな人なら尚更楽しいんじゃない?」 「……」  複雑そうな顔をして黙り込む瑞希。  意地悪を言うつもりはなかったんだけど……、つい、探りたがりの心が悪さをしてしまった。 「ん? 彼と喋るのは楽しいんじゃなかったの? もう好きじゃなくなったの? それともケンカ? どうせ洗い物残したまま彼を家に入れたんだろ……」 「――違うもん! 何なの、娘に過干渉なうざいパパみたいなこと言って!」 「おっと――ごめん……図星ってこと?」 「バカ! デリカシーない!」  どっ、と体を轟かせる衝撃。 「わっいてっ」  瑞希の拳が腕や背中にヒットしていた。  ああ。怒らせたみたいだな。  この程度なら骨が折れることはないけれど……。  まだ瑞希は「バカ!」と言いながら俺に殴りかかろうとする。 「っともう、よしなったら」  両手首を何とか捕まえて止めた。力業ではさすがに瑞希に勝った。  瑞希は顔を真っ赤にして、拗ねたようにこちらを睨んでくる。 「……何か困ってんの? 彼には直接言えないようなこと……」 「俺でよければ言ってみなよ」と、あくまで生活監査員の業務に充てるつもりで言った。 「――あ、セックスレスなのはこの前聞いたからいいや」 「――蒼!」
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