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幸か不幸か瑞希がついに泣き出したから。
もう……する前から泣くなって……。
しかし。
「も……っ、あたしじゃ、飽きちゃったの……?」
「え――っ」
予想外な言葉が返って来た。
やだな。そんなつもりじゃなかったのに。そんなわけないのに。
「あおい……きっと違う人のこと考えて、気が気じゃなくて……! あたしとはもう……考えられない……? う……っ」
「瑞希――」
俺が愛してるのは本当に君だけ。
これが言えたらどんなに楽だろう。
彼女を抱いて宥めつつも、言えない想いばかりが募って喉を圧迫するようだった。
同時に。
これ以上ない悦びが俺を襲っていた。
そうやって俺のことを考えて泣いてくれるなんてね。君はやっぱり――。
あぁ……。やっぱり君が欲しい。
俺がこんな想いをしてここにいることを分かってくれなかった君が――愛おしい。勘違いの裏側に、無意識でも君が俺に手を掛けようとしているのが見える。
嬉しくてどうかしそうだ。
大好きだよ。
「ど……して、何も言わないの、蒼……」
言わないと分かんないのは重々承知だけどね。言えないんだ。
ひくひく震える彼女を脚の間に抱き入れてしっかり腿で固定する。
「ぅ――……っ」
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