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その後、2人は客室に厨房、浴室に最後に玄関まで見て回った。その時、ボーンボーンと時間を知らせる鐘の音が鳴り響く。
美月が腕時計を確認する。
「あ。もう三時だ」
「大広間だっけ。行こう」
「きゃ――!!」
2人が向かおうとした直後、甲高い悲鳴が響きわたった。
「え? な、なに?」
「広間のほうだよ。行こう!」
恵子は美月の手をひいて、大広間へ向かう。
広間の中では、口元を押さえたり、座り込んでいる参加者たちがいた。
「ちょっと、どいて!」
恵子は固まっていた人々を押しのけて、美月と一緒に先頭に立つ。
「「っ!?」」
煙突の上から落とされたのか、主催者の男が煤だらけで、胸を包丁で刺され、死んでいた。
「なっ!? い、いったい、どうして……」
がこんっと音を立てて、暖炉の上に飾られていた絵画が巨大モニターと入れ替わる。
一同が緊張した面持ちで見つめていると、画面が映りだした。そこには、覆面で顔を隠した者が現れる。
『ゲームに参加する者たちに告げる。この中に、かつてこの屋敷に住む者たちを惨殺した犯人がいる。犯人を突き止めなければ、家族が殺された三時に、一人ずつ殺していく』
ブツッと音をたてて、画面が消えた。
「な、なんだよそれ!」
「この中に犯人がいるなんて……」
「おまえじゃねぇのか!」
「そんな事件のことなんて、知らねぇよ! これはただの遊びだろ!?」
参加者たちが仲間割れをするかのように、騒ぎ出す。
「冗談じゃないわ! 私はもう帰る!」
一人の女性がそう言って、玄関に向かう。
「ちょっと! 逃げるつもり!?」
恵子は女性を追いながら、そう叫ぶ。
「そうよ! ここにいたら、殺されるかもしれないんでしょ!? いやよそんなの!」
彼女の言葉にそう返し、女性は玄関のドアノブに手をかける。
「いっ。あ……」
突然、女性がばたりと倒れた。
「ど、どうしたのよ」
恵子が覗き込むと、女性は目を見開き、口から泡を吹いていた。
「え? ま、まさか……」
「僕が見よう」
恵子を押しのけ、眼鏡の青年が女性の脈を調べ、持っていたペンライトを彼女の目に当て、瞳孔の動きを調べる。
しばらくして彼は顔を上げ、小さく首を振った。
「……死んでいる。どうやら、ドアノブに毒が塗られた針が仕掛けられているようだ。かなりの猛毒で、一瞬で心臓を止めたらしい」
「毒? いつのまにそんなものが」
「それはわからない。だが、他の外に通じるドアにも同様の仕掛けがあるかもしれない。窓もはめ込み式で開くことは無い。
僕たちはこの屋敷に閉じ込められたと考えるのが、妥当だろうね」
青年の言葉に、一同の顔色が恐怖で染まる。
美月は恵子の袖を引っ張った。
「け、恵子ちゃん」
「大丈夫。美月のことは、あたしが守ってあげる。……こんなところで死んでたまるか。絶対に、犯人を突き止めてやる」
恵子は美月の手を力強く、握りしめる。
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