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だが、恵子の決意もむなしく、犯人への手がかりは一切掴めなかった。それどころか夜中の3時にも、殺人が起きた。女子トイレに罠が仕掛けられており、張りつめられたピアノ線で女性の首が切り落とされていたのだ。
見つけたのは友人の女性で、あまりにも戻って来るのが遅いので様子を見に来たら、すでに彼女の首が床に転がっていたと。
そして翌日、午後三時。再び死体が発見される。
「午前と午後の三時になる度に殺されるとなると、皆殺しはあっという間ね」
「こ、怖いこと言わないでよ! 恵子ちゃん」
恵子の言葉に怯える美月。だが、彼女は内心で納得もしていた。
「……わたしたちを閉じ込めた人は、最初からわたしたち全員を、殺すつもりなのかな?」
「その可能性は高い。殺しも無差別のようだしね」
「はぁ!? じゃあ、ここの家の人らを殺した犯人は、死んでるかもしれねぇってことか!?」
最初の事件以降、美月たちと一緒に行動するようになった黒縁眼鏡の八城和真と、金髪で装飾品をジャラジャラと付けた彼の友人、宇野辺裕也。
4人は和真と裕也の部屋で、話し合っていた。
「彼の言う通り、犯人は死んでるかもしれないわ。それでも殺人は続く。となれば、全員を殺すつもりでしょうね」
冷静に分析する恵子に、美月は感心した眼差しを向ける。彼女の目線に気付いた恵子は、首を傾げる。
「なに?」
「恵子ちゃんはすごいなって。こんな状況でも、怖がってないんだもん」
「怖いわよ。でも、怯えてても仕方ないじゃない」
「強いなぁ。わたしも強くなれるかな」
「美月は今のままでいいの。あなたがいるから、あたしは強くあれるんだから」
恵子の言葉に、美月は嬉しそうに笑う。
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