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しかし、参加者は次々と死に絶え、ついに残ったのは美月と恵子、和真と裕也のみとなってしまった。
「やっぱり、わたしたちを閉じ込めた人は、全員を殺すつもりなんだ! 殺人現場を遊び場にするから!」
「落ち着いて美月! 大丈夫。きっと大丈夫だから」
「……」
泣き崩れる美月と宥める恵子。そんな2人の事を、和真はじっと見つめていた。
あまりにも無表情で彼女たちを見ているので、裕也は恐る恐る、彼に声をかける。
「和真? どうしたんだよ」
「十年前にここで起きた惨殺事件。ニュースでは生き残りはいないと報道されたが、僕が知っている限り、4人の生き残りがいる」
一同の視線が、和真に集まる。
「強姦されたとみられる一家の末娘。助けるために、犯人に手をかけた使用人の娘。外出していた一家の長男。当時遊びに来ていて、咄嗟に逃げ出した兄妹の幼馴染みの少年。
それが今、ここにいる僕たちだ」
衝撃の事実に、3人は息を飲む。和真の話は続く。
「僕は一家の長男で、裕也が幼馴染み。芦屋美月さんは当時、住み込みで働いていた使用人の娘さん」
「な、なんで……」
驚く裕也に、和真は溜め息をつく。
「見た目は変わっても、中身はそう簡単には、変わらないさ」
和真の指摘に、裕也は気まずそうに視線を反らした。
「そして、加納恵子さん。きみは僕の妹だ」
「……知らない。知らないわよ! あなたがお兄ちゃん? あたしにお兄ちゃんなんていない! あたしは一人っ子よ!」
恵子は必死に首を振って、否定する。
「それは、きみが今の家に引き取られてからの話だ」
「知らないったら! あたしのお父さんもお母さんも生きてるわよ!」
「恵子ちゃん」
ヒステリーを起こす恵子を、先ほどとは逆に、美月が宥めるように、抱きしめた。
「僕たちの関係は、ここを無事に脱出したときに、検査でもしてはっきりさせよう。それより、芦屋さん。いい加減、僕たちをこの屋敷から出してくれないか?」
「ど、どうして、わたしに、言うんですか?」
「決まっているだろう? きみが今回の犯人だからだ」
「「え?」」
恵子と裕也の視線が、美月に向けられる。
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