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カチコチ、カチコチ、カチコチ、カチコチ。
古びた柱時計が、音を立てて時を刻む。時刻は午後二時三十分。
洋館の大広間に集まる男子二人、女子二人の計四人。彼ら彼女らは怯えた表情で、怒りに満ちた表情で、泣き腫らした表情で、考えを悟らせない表情で、各々、時計を見つめている。
「……次は、わたしたちの誰かが、殺されちゃうのかな……」
黒髪を簪でまとめた女子大生、芦原美月は、時計を見ながらポツリとこぼした。
「おい! やめろよ! そういうこと言うの!」
金髪でアクセサリーをジャラジャラと付けた男子大生、宇野辺裕也が美月に怒鳴る。
彼の大声に美月はビクッと身体を震わせた。そんな彼女を守るように抱き寄せる、同い年で茶髪ショートの加納恵子。
「ちょっと! 怒鳴らなくてもいいじゃない!」
「その根暗女が、そんなこと言うからだろ!」
「やめろ、裕也。彼女を責めても、意味がない」
黒縁眼鏡の男、八城和真が裕也を止める。
「それに3時までに、どうにかこの屋敷から脱出しないと、次の被害者は間違いなく、僕たちの誰かだ」
「か、和真までそういうこと言うなよ!」
「現実から目を背けた所で、意味がないだろう」
かちりと和真は眼鏡の位置を直す。
そう、4人はこの館に閉じ込められているのだ。
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