良い子ぶってんじゃねえよ。

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葵はその日の夜は私が寝ようとする時間に帰ってきた。 廊下でバッチリ私と葵が鉢合ってしまい、私がびくっとすると葵の方からまっすぐな強い視線と凛とした声で「ただいま」と言った。 「おかえり…」 反射的に返すと葵はほっとした顔になり、 「父さんとちょっと大事な話、してくるね。それから…」 「今日の夕食、葵の好きなお好み焼きだったから、ラップしてあるよ!だから用事、終わらせてからでいいからちゃんと食べるんだよ!」 なんだかお母さんみたいじゃない…。そんなつもりで言った訳じゃないけど。「ありがとう」 葵は穏やかな澄んだ目で頷くと、お父さんの部屋に向かった。…大事な話ってなんだろう。葵の男らしい背中を見て思う。ちゃんとお父さんと向き合って話すってよっぽどのことだと思う。そんな向き合って話すことってお母さんが今の状態になった時、今後どうしていくかの話以来だ。しかもその時、お父さんと私と葵という三人だったけど、今日は男同士で一対一。あの時と違う緊迫感が流れていた。
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