私は彼氏ができない。

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「バイトは休み。だから気にしなくていいよ」 葵は新聞配達とスーパーのレジ打ちの仕事をしている。つまり高校生なのに二つもバイトを掛け持ってるのだ。バイト可能の進学校に通い、成績を落とさず家計のために働くなんてできすぎた弟だ。 「じゃあ今日は一緒に食べれるね!」 スーパーのレジ打ちのバイトは週五で入ってる葵。なので学校が終わると閉店の夜九時まで働いてるため家族みんなが揃わない夕食だけど今日は食べれる!お父さんは朝食は絶対、みんなで一緒に!という家訓を作ったため、朝は一緒に食べれるけど、夕食葵の姿が見えないのはやっぱりちょっと寂しくて。だから嬉しかった。 「…そんなに嬉しいわけ?」 皮肉交じりに葵は言うけれど顔は明らかに照れてて、口角が上がっていた。 「嬉しいよ!」 そう言うと葵はそっかっと言い、そのままグルグルと鍋の中を異常なくらいお玉で中を混ぜていた。
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