私は彼氏ができない。

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「おはっよー、蓬!」 「おっはー、蓬」 「おっはーってさ(笑)おはよ、蓬」 校門に向かって歩いてると桃とユリと楓が私に向かって手を振って挨拶をしてくれた。3人とも電車通学なのでよく一緒に登校してくるのだ。 「おはよう」 私が挨拶を返すと3人ともにっこりとして今日の体育のこととか昨日の宿題のこととか我が我がと話している。私はいつも通りニコニコと聞く役目だ。 その時だった。 「おはよ」 男子の声がすぐ近くでした。桃もユリも楓も話に夢中でその声に気付いていない。勘違いかもしれないけど、消えそうな声で私に向かって掛けられたような気がした。 「春野蓬におはよって言ったんだよ」 また声が聞こえる。挨拶は私にかけられたものらしい。 「あ」 声の主が私のすぐ横を先に歩いていく。すれ違う時に目が合った。冷たい氷のような目。…氷室良だった。
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