私は彼氏ができない。

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でも、きっと分からないよね?分かってほしいとは思ってはないけどさ。 「彼氏できたら絶対教えてね!」 楓が私の最後に食べようと思っていた唐揚げをパクっと食べる。そして、「やっぱり、明日からはちゃんと食べようかな…」と呑気なことを言っている。私はただ、口角を上げて笑うしかできなかった。 っていうかさ。 窓際の席の私は興味も覚える必要もあるのか微妙な歴史の授業の話を聞き流しながら、外の景色を見る。すぐ近くには、もちろんグランドがあってその向こうにはスーパーや薬局があってその更に向こうにはこの辺りでは一番の大きさを誇る病院が建っていて。 私のお母さんはその病院で目を覚まさずに眠っている。あの事故から、ずっと。大事な大家族を残してずっと眠りについている。 だから、恋なんてしてられない、私は。 家族のためにあの時、生きると決めたから。 …まあ、それ以前に男の人のほうからこんな女の子、嫌がると思うけどね。
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