私は彼氏ができない。

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「今日も目、覚めてなかった…」 もう慣れたけど。 レジ会計が済み、買い物に使うエコバッグに買ったものを詰めながら思う。最初の内は悲しくて、悲しくていつも泣いていたけど、今は慣れてしまった。ちょっと顔を見てすぐ帰るようになった。だって私の家は大家族だし、兄弟も幼いし、騒がしくて、やることも多くて、悲しい気持ちに浸ってばかりにはさせてくれない。だから女子高生の生活は送れなくても、甘酸っぱい青春は送れなくても、私の心を生かしてくれる家族のために頑張れるなら私はそれでいい。 だって私はこの家族が世界で一番大事で一番幸せになってほしい人たちだから。 「桜ちゃん、柏君。お姉ちゃんがお迎えに来てくれたわよ~」 幼稚園に迎えに行くと先生が桜と柏を呼んでくれた。すると二人は遊んでいたおもちゃをその場に捨て、私のところにパタパタと駆け寄ってくる。 「お姉ちゃん!!」 …こらこら。おもちゃを大事に扱わなきゃいけないぞ。と言いたかったけれど、可愛い目でじっと見られると言えなかった。ここが母と姉の違いかな。桜も柏もお姉ちゃん大好きっ子だし。私も好きだし。よっぽどのことじゃない限り怒れない。
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