私は彼氏ができない。

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「きょうね、きょうね。大きなカエルさん見たの!」 「僕は頑張ってピーマン、食べた!」 二人は今日の幼稚園のことを我が、我がと私の制服を引っ張りながら話す。そんな二人の話を聞きながら私は幼稚園の先生にぺこっと頭を下げ、家路に向かった。 「明日のピクニック、楽しみ!」 「お姉ちゃん、人参入れないでね!その代わりにタコさんウインナー沢山入れてよ!」 「人参可愛くするからちゃんと食べなさい。そうしなきゃ、タコさんウインナー入れないよ」 私は文句を言う柏にそう言い返すと、ぶーっと膨れたけどおやつにホットケーキを作るよと言うと機嫌が一気によくなった。 「ねえ、お姉ちゃん!あそこのおばあちゃん…」 桜が私の制服をぎゅっと今日一番の強さで引っ張る。私は桜の小さな人差し指で指す方向を見ると、おばあさんが道路の真ん中でオレンジを拾っていた。
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