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「ひっ!何でこんなもんが」
思わず悲鳴を上げたのは、巨木の目の前までやって来た時だった。
巨木には洞穴の如く、人一人が入れる程度の穴が開いていた。
そして、その中には首だけが土から出ている状態の、頭から何本も不気味にうねった角が生えた真っ黒な瞳の青い鬼の像が、赤黒い口を開けながら威嚇し埋められていた。
”カエレ”
そう響く様な声は、耳では無く頭に響くように聞こえて来ていた。
「ダムに、ダムに行きたいんです」
思わずそう聞いてしまった。長く沈黙の様に何も聞こえては来なかったように思えたその時だった。
”ヨカロウ”
思わぬ返答が返って来たかと思うと、青い鬼の像は真っ赤な涙を流したかと思うと、青い皮膚から蛆が何十匹も沸き、見る見るうちに骨となり土に帰った。
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