アカシタ

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アカシタ

「赤舌なんだって。で天地の婆ちゃんの言葉聞き取りにくいからアカシカって聞こえたらしいんだよ」  天地とその取り巻きの三人は山の中で騒ぎながらそんな話題で盛り上がっていた。  やがて薄っすらと霧が立ち込めてきたが、話に夢中で誰一人帰る事は無かった。 「そう言えば此処で一人行方不明になったって去年言ってたよな」  メンバーの中の一人がそう言うと、天地だけが青ざめた顔で媚びへつらうように笑っていた。 「まぁそんな話どうでもいいじゃんか。とにかく真相を確かめてオカルト雑誌に投稿しようぜ」  仲良さげな四人は、最近になってようやくこの森の中に入れるようになった為、肝試しと共に、天地は一年越しの化け物探しにやって来た。  勿論、一年前に彼が森で神隠しにあったと言う話と、遭難し行方不明になったと言う話でそうなったのである。 「しかし、此処まで来ると方向も訳わかんねぇな」  取り巻きの誰かがそう言った瞬間。突然、森の奥から生ぬるい腐敗臭が流れ込んできた。
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