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「そういえば俺、来月のモビリティ・カンファレンス申し込むの忘れててさ。行かなきゃヤバいやつ?」
「ミッドタウン日比谷のなら、美香さんに頼んどいた。おれと圭のふたり分。会社に招待状届いてたと思うけど」
さすが慧、抜かりない。
「慧って美香さんとつき合ってんの」
「いや」
さりげなく訊ねるも慧は眉も動かさず否定する。ふと、こいつは誰と結婚するんだろうなと思った。
御曹司ゆえ選び放題の立ち位置だが、生真面目で誠実、女にだらしないところは一切ない。
神経質そうでいて意外とおおらかな面もあるし、背も高く、いわゆるイケメンに属するメガネっ子だ。
「あ? メガネっ子言うな」
「萌えアイテムだろ」
「誰に対しての萌えだ」
うっとうしそうに言いながら、慧がノートパソコンを膝からおろした。
「社長が家庭教師を探してる。俺は圭を推すからよろしくな」
「は?」
突然何を言い出すんだ。キーを打つ指が止まる。
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