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この出来事が水木の耳に入らなかったのは、
水木が俺や松山が登山に参加してると知らなかったからだけではない。
松山が俺に成り代わってまで浅野に恋したのは事実で、彼は本気で浅野を狙っていた。
成り代わりがどこからかバレないように、松山も柳原さんも俺も、あの日のことは誰にも話さなかった。
ピンチヒッターで来ていた俺のことをちゃんと認識していた人も少なくて、浅野佳世子を高山病から救ったのは松山だと言うことが事実になった。
この時は、別に彼女に特別な感情を抱いた認識はなかった。
ただ、登山の後と前では随分印象は変わっていた。
それは紛れもない俺の中の事実だった。
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