No.2 heartbreak

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「どうしたの?」 水木が俺に問い掛ける。 「気にすんな。玉砕しただけだから」 水木にドリンクメニューを渡す。 「失恋?」 「そう」 水木は店員に生ビールをオーダーした。 「その話、俺聞いてない」 松山の情報漏洩対策は徹底していた。 「話せば長くなるから、今度アイツの傷が癒えた頃に聞いてやって?」 「おう」 到着したビールで水木と乾杯。 「どう?営業」 「エリアがこの春から変わって、やっと馴れたとこ。ここ最近土日も出てたから」 「大変だな。デートも出来ないだろ?」 「まぁ、彼女も職場に馴染めるように頑張ってるみたいだから」 「へぇ…彼女の職場近いの?」 俺の問い掛けに、水木は一瞬間を置いた。 「ち、近いっちゃぁ近い」 そう言って黙る水木。 聞かれたくなかったんだろうかと察する。 「何か食う?」 話を変えた方がいいと思ってフードメニューを渡した。 「彼女さ…」 「ん?」 やっぱり話しを続けるのか? 「同じなんだよ。俺らと」 そう言った。 同じ? 「うちの会社ってこと?」 俺の問い掛けに頷く。 「マジか!!」 驚いた。 「どこの課の子?」 「いや、それはちょっと恥ずかしいからやめとく」 「はぁ?ここまで話して?」 「いや、なんか、社内恋愛ってなると色々面倒だから暫くは内緒にしとこうって話で」 なるほど。 確かに、賢明だと思う。 「周りにはもちろん。今の松山には話さない方がいいと思う」 それだけは釘を指しておいた。
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