第1章 ファースト・コンタクト

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第1章 ファースト・コンタクト

 訃報はあまりにも突然だった。  祖父の住んでいた洋館の近くの村の人が親切にも祖父の遺書とも呼べる手紙を送ってくれたようで、いままさに祖父の洋館へ向かっている。  祖父の家から一番近い村まで行くのに1日。そこから祖父の家に着くまでに徒歩で1時間くらいだろうか。村まではなんとか砂利道を自動車で辿れるのだが、問題はそこから先だ。  少年だった頃の俺の足では中学校に通うだけで半日近くかかったっけか。家への道の途中には羊や牛が放牧されていて、よく羊が破れた柵を乗り越えて脱走していたりして、追い込むことを手伝ったことは今でもいい思い出だ。  俺は農作業とかわかる系の美人なのだ。そこを間違えないでおいてもらいたい。王都の着飾りすぎて頭までトリ頭な奴らとは違うのだ。 「どこへ行かれるのですか?」 いわゆる検問、みたいなものだろう。最近は物騒だから、こんな国の端っこの村でも行われているらしい。だが都市の検問のように物々しい軍人たちが睨みつける中で行われるようなものではなく、実直そうな村人が行っている。これはこれは……。 「アルバート・クリストフの家まで少し。」 「おや、縁者の方ですか?この度は、本当にお気の毒でした。」 担当の村人の目の中に好奇心が浮かんでいるのもわかっていたが、それにしても相変わらずなんだか憎めない。俺よりもかなり年上のはずだし、最後に会ってから割と長い月日が経っているはずだ。アルの名前を聞いたときは本当に眉毛が下を向いて、しょんぼりしていたようだが、次の瞬間、その目は、興味があります!とでも言いたげにキラキラしている。とにかく昔からわかりやすい人なのだ。感情が表面に出るタイプなのだろう、自分の周りにはあまりいないタイプだから、和む。まあ、俺は視覚的に周囲を癒すわけだが。美人だし。 「孫ですよ。ギルバート・クリストフ、と言います。」 「そうでしたか……。ん?君、ギル坊か!ギル坊だろ?」 「そうですよ、丘の向こうのギルですよ。覚えていていただけて嬉しいです。お久しぶりです、マックスさん。」
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