使用禁止アンブレラ

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私の幼馴染みは、悪い人だった。 毎日、仲間と弱者をいじめたり、物を壊したり、飲酒したりして騒いでいた。 成長は人を変える。小さい時は一緒に遊んだりした記憶も記録も残っているのに、徐々に距離が出来て、今や私も彼にとって邪魔な存在になっている。彼の行動を咎めたら、恫喝された。彼の母親に何とかしてもらおうとしたら、うちは自由にのびのび育てる主義だから…と返された。ダメだこりゃ。写真の中で私と微笑む彼はもう居ない。 彼は人の物を何でも盗む人だった。特に梅雨の時期はよく傘を盗んでいた。持ち歩くのは面倒くせーしその辺ので良いだろと、傘立てに立ててある他人の傘を、仲間と物色して各々好きな傘を持っていってしまう。名前が書いてあっても、何か目印が付いていてもお構いなしにだ。本当迷惑!と思っても、彼らは女子にも関係なく恫喝してくるので、怖くて誰も注意出来ず、傘を盗られた被害者は仕方なく濡れて帰るか、コンビニでビニール傘を買って帰るかの2択しかなかった。 だからバチが当たったのだろう。彼はある日突然居なくなった。
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