「実技の授業」

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「実技の授業」

   実技の授業をやる場所は最初に集まった運動場だ。  俺からすると体育の授業のようだがみんな同じの体育着を着てる訳でもなく、制服でもない。  みんなバラバラな服を着ての授業が始まったのだ。  クラスのみんなが集まり、ホメロス先生が前に出ると全員が集まったか確認し、説明が始まる。 「実技の授業を始める前に二つ伝える事がある! まずはそれぞれのギフトのアピールをしてもらう! 簡単に言えばギフトの紹介だな」  ホメロス先生は皆に聞こえるように大きな声でゆっくり話した。 「そして、一年に一回の行事……クラス対抗戦がある!   それに勝てるようにギフトを磨き、十分に扱えるように頑張るぞ!」  対抗戦という言葉を聞き、クラスのみんなも真剣な顔になり、唾を飲み込む。  俺は手をぎゅっと握ると、どんどんやる気が湧いて来るのがわかる。きっと楽しみなのだ。  人と戦う為に訓練してきた訳では無いが……負ける訳には行かない。  すると、一人の生徒が先生に質問をした。 「――お聞きになっても宜しくて? ホモラス先生。  対抗戦はどんなルールでおやりになるですの?」  自信に満ち溢れており、よく通る様な声でクラスの誰かが先生に質問をする。  少し偉そうで上品な喋り方だ。  質問したのはどんなやつだ? と周りを見渡してみるとその声を発したであろう少女を見つけた。  漫画等で出てくる縦ロールと言うのだろうか?  左右に結んである金色の髪を螺旋状にロールさせている。  簡単に言うならTheお嬢様だ。 「クラスから選抜五人を選んでの一vs一の対戦だ。  皆選抜に選ばれるように頑張るんだぞ?」  たまに思う事だが、この世界の大人は子供に何を求めてるんだろうか? 下手したら怪我するぞ……?  それともこれが普通なのか? そんな風に考えているとアピールタイムが始まったようだ。  一人一人が前に出て自己紹介。  その後にギフトを見せると言う流れだ。  誰かが紹介としてギフトを発動するとどんなに地味なギフトでも大きな声歓声が湧き上がるのだ。  触れたものを動かす、手の上で発火させる、火を吹く、嘘を見破る、近くの探したい物を見つける、指先から電気を流す者もいた。  俺はこいつを心の中でMr.スタンガンと呼ぶことにした。  そして次の人は誰だ? とまるでサーカスを見に来たお客のような気分で見ていると、また自信満々でよく通る声が聞こえてきたのだ。 「私の名前はコロネ・ミスティリア。国はブリオッシュ王国ですの」  コロネがそう言うと縦ロールの髪の毛が一人でに自由自在に動ごいていた。  髪の毛でリボンを作ったり、手を作ったり、オマケに長さまで変えれるらしい。  一見弱そうに見えるが……俺は凡用性が高いと思った。  強そうだな……。  ――そして次はネム君の番だ。  ネム君は少し大きめの棒を先生に渡した。  最初何するんだろう? と思った瞬間ホメロス先生がコクコクと頷いた後、ネム君に向かって棍棒を思いっきり叩きつけたのだ。  俺は瞠若(どうじゃく)し、思わず大声で『何やってるんだ!』と叫びそうになったがよく見るとネム君はピンピンとしている。  よく見ると棍棒の方が粉々に砕け散っていたのだ。  あぁネム君のギフトは身体強化 (硬)だったなぁ  それを思い出し、ほっと胸を撫で下ろす。  拍手をしたのは俺と先生そして……他に一人だけだ。  ネム君はアピールタイムが終わり、俺に笑顔を見せた後少し落ち込むように自分の場所に戻って行った。  その理由はきっと歓声が起こらなかったからだ。  教室の時と今回で気付かないほど俺は鈍感ではない。  思わず立ち上がり、周りに聞こえるように大声で叫んだ。 「なんで! なんでネム君の時だけみんな静かになるんだ! 種族は関係ないだろ!」  思っていたより声が大きくなり、恥ずかしくて耳が赤くなる。 「だって、エルフだから……」 「魔族かもしれないわ……」 「みんなが言ってるから……」  周りからは様々な声が聞こえてきた。  みんなの身勝手な言葉を聞き、実に腹ただしいと思った。『もういい』と言ってしまいそうだった。  するとコロネが周りを見渡すように立ち上がった。  顔には怒りの表情が見える。 「えぇ全くその通り、貴族も王族も種族も関係ないですの! ここはギフトの学び場所……つまらない考えで一人の可能性ある未来を潰すそうとするなんて恥を知りなさい! ふんっ! おととい来やがれですの」  コロネは髪を手でなびかせながら言い放つとざわついていた場の空気はシンと静まり返る。 「もし、まだ何かおっしゃりたい方がいたのならば、我が父……ブリオッシュ国王まで言ってくださいまし」  結局王族の権力使ってるじゃん……と思ったが場を鎮めてくれたのだ。  あえて突っ込まないことにした。  そしてまだ九歳ばかりのおかげか、みんな素直にネム君に謝りに行ったのだ。  ネム君は少し照れくさそうにして、耳をパタパタと上下させている。  そして次のアピールは俺の番だ……!
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