「アラン」
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「アラン」

   赤ん坊に転生してから何時間経ったんだろう?  俺はずっと天井を見ている。天井に壁も木造。  そして俺が寝ているのは、どうやら木製のゆりかごだ。  揺らすと赤ちゃんがキャッキャウフフと喜びそうなあれだ。  目の前の男女が何かを言い合っているが耳が遠くてまだハッキリとは聞こえない。 「────? ────??」  ん? 「───! ─────よ!」  お、少し聞きやすくなったかもしれない。  だが、俺にはいくつか不安はあった。  それは言語についてだ。  いきなり違う国の、ましてや異世界の言語を覚えるなんてきっと出来ない。  今まで日本語に慣れてきた……日本語しか喋れないと言っても過言ではない。  しばらく男女の言い合いを見ているとぼんやりしていた視界が段々と鮮明に見えるようになってきた。  手足を動かしてみようとするがまだ体は上手く動かない。  赤ん坊だから仕方ないと思うが少し不自由である。  もし事前に転生する事を知っていなければ頭をぶつけた後遺症で入院していると勘違いしてきっとパニックになっていただろう。  目の前で言い合いしている男女は恐らく俺の親だ。 「いえ、───た通りこっちの名前にするわ」  お? 何故か急に聞き取りやすくなったぞ。  母親と思しき女性がとても優しそうな表情でのぞき込んできた。  彼女は誰が見ても美人である。  サラサラとした金髪に、宝石のような蒼い瞳が印象的だ。  間違いなく純日本人ではない。 「ふふふ、決まりね……! あなたの名前はアラン。  アラン・ビスキットよ!」