「獣の国からの依頼書」

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「獣の国からの依頼書」

  「最近騎士団に報告があってな? 近くにある獣人族の小さな村がゴブリンの集団によって壊滅されたそうだ」  セインは少し困ったように腕を組んでいた。 「えっ? ゴブリンが獣人相手にですか……?」  これには驚くしか無かった。  なぜならゴブリンはCランクに位置する魔物だ。  五歳程度の知性で体は八歳の子供程の大きさだ。  ましてや相手は鼻が効いて力が強く、素早い獣人だ。  勝てるはずがない……。 「なぜ獣人を相手にして勝てたんですか?」 「報告によると村の住民が十五人ぐらいに対して  ゴブリンの集団はだいたい五十匹はいたらしいぞ?」 「――っ! 多すぎる……!」  あまりの差に驚くことしか出来ない。 「仕舞いには鼻が利かなくなるように、獣人が苦手な匂いを出す香草をわざわざ選んで炙り、深夜に襲いかかったらしい」  いくら戦闘力の高い獣人でも鼻が利かず、寝込みを襲われて倍以上の相手に勝つのは難しい。  しかも村という事は女性や子供もいたはず……。 「ゴブリンが香草を使う事なんてあるんですか? 信じられないんですが……」  棍棒やナイフを使うなら納得するだろう。  でも、獣人相手に苦手な香草を選んで炙るだなんて……  正直ありえない話だ。 「普通ならありえない。村は壊滅、上手く逃げ延びた獣人は盗賊に捕まって奴隷商に連れていかれたらしい」  奴隷という言葉を聞いて思わず驚いてしまう。  やはりあるのか、と思った。  日本も昔はいたかもしれないが現代では一般的に馴染みのない言葉。社畜という名の奴隷はいるが。 「奴隷っているんですか……?」 「ああ、奴隷はいるぞ?  国では一応禁止されているが立ち回りが上手くてな、利用する貴族が多いからか騎士団でも対処が困ってるんだ」 「そう、なんですか……」  やはりこの世界では奴隷は存在しているらしい, 「その紙はもしかして依頼書ってやつですか?」  依頼書をじっくりと見てみる。
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