外伝「クリムゾン」

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 ーーー  王国騎士になり、訓練しているある日。  ネマは最近ボーッとしていることが多い。  訓練していても終わっても上の空だ。 「おーい! ネマ!」  セインが声をかけている。だがネマはまだボーッとしていた。 「次の訓練分かってるか?」  セインが最近集中していないネマを心配して聞きに来てくれたのだ。 「エルフ……」  ネマがボーッしながら答える。 「…………ん?」  そしてセインは質問を続けた。 「明日の訓練は?」 「エルフ……」 「???」 「明日の朝ご飯は?」 「エルフ……ってエルフがご飯って……!  ななな何を言っているんだセイン!」  ネマが顔を真っ赤にしながらセインに言い返していた。 「何を言ってるんだ、はお前だよ……  どうしたんだ最近? 全然訓練に集中してないぞ?」  セインが呆れたようにため息をしている。 「実は、この間治癒してくれたエルフ族の男性が頭から離れないんだ……こう、胸がバクバクするというか……」  ネマは自分の中の未知の感情について感じている事をセインに全て話した。 「なるほどな! ふっ、ネマ……それは恋だな!」  セインがヘラヘラしながらドヤ顔で答えた。 「恋……だと!?」  恋だと言われ、そんな馬鹿な! と言いたくなったがネマはさらにユーライアの事を意識してしまうのだ。 「お? あそこにいるのはあの時のエルフ?  まず名前から聞いた方が良いんじゃねぇか~?」  セインがずっとヘラヘラしているのが気に食わないが  仲良くなるチャンスだ。  ネマはユーライアの元に走っていった。  全力でだ。 「あ、あの!」  緊張していたせいか思っていたより大きな声が出た。 「はい……? あ、以前魔物討伐の時の……あれから腕はどうですか?」  いきなり声をかけられてユーライアは少しびっくりしていたが直ぐに思い出し、ユーライアは腕の怪我を心配している様だ。 「あ、あの時はありがとう……腕はこの通り完全に治ったよ。その、良かったら君の名前教えてくれないか……?」  ネマは顔を赤くしながら勇気を振り絞り、まずは名前から聞くことにした。 「えぇ、構わないですよ。僕の名前はユーライア、国を出て苗字は捨てましたので……ただのユーライアです」  その日からネマとユーライアは以前より会うことが多くなった。  話す事も増えた為ネマとユーライアはお互いの事を知る事が多くなり、無事に付き合うことが出来たのだ。  告白はユーライアからしたらしい。  そして初めての恋人を手に入れたネマは今まで以上に訓練に励むことが出来た。  ユーライアのおかげでやる気に満ち溢れたネマは  初めての戦場でいつもなら出さないであろう火力でギフトを使い、戦場を真っ赤に染めた事からクリムゾンと呼ばれるようになった。  そして二人に子供が出来た時のことだ。  初めて自分の産んだ子を見た時に父親の言葉を思い出したのだ。 『大切な人を必ず守りなさい』 「あぁ、お父様が言いたかったのはこういう事だったのか……」  私は必ず……ユーライアを……そして私とユーライアの大切なこの子を。  ネムを必ず守ると心の中で誓ったのだ。
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