「守った証」

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 ~アラン視点~  ホブゴブリンが木剣を振り下ろした。  せっかくネム君に守ってもらったのにこのまま動かなければまた攻撃を食らってしまう。  結局俺はまた大切な人を守れないのか……?  くそっ……  なんで!  なんで俺はこんなに弱いんだよ!!  毎日素振りだってしてるのに!!  魔術だって覚えたのに!!  なんで  なんで……! 「あああぁぁぁ!!!」  ――俺は叫んだ。  俺はネム君を抱えながら大きく叫んだ。  俺の叫びは洞窟内に響き渡っただろう。  悔しかった。そして苛立ちを覚えた。  自分への苛立ちだ。  新しい人生は一生懸命生きるって心の中で豪語した。  でもどこかで満足していたのかもしれない。  もうここまで出来たから大丈夫……と。  慢心だ。  結局同じ事を繰り返してたら意味が無いじゃないか!!  そして振り下ろされた木剣は俺に届くことは無かった。 「アラン! 大丈夫か!!」  駆けつけてくれたのはセインとネマさん、そして茨のドラゴンだ。  なんで……?  俺が叫んだ事によりホブゴブリンが少し怯んだらしい。  きっとたった一秒止まっただけだろう。  だが、その一秒で助かったのだ。  俺の目に映るのは俺が抱き寄せているネム君を見ているネマさんだ。  怒った表情はしてない。  だが少し泣きそうな顔を我慢している。 「うぅ、ご……ごめんなさいネマさん、ネム君が、僕を庇って! 僕が慢心してたせいで! こんなに……こんなにも僕は弱いのに! うぅごめんなさいぃ!!」  俺は泣き叫んだ。  こんなに泣いたのは妹を守りきれず神様の前で泣いた時以来だ。  結局……俺はなんも成長してない。  新しい人生で後悔しない……そう決めたのに。 「な、泣かないで、アラン君……」  聞こえてきたのはネム君の声だ。 「ネム君!? う、動かないで! あ、中級……! 今中級治癒魔術思い出して使うから……!」 「だ、大地に満ちたる命の躍動、神の息吹にて汝の傷を癒せ」 【ヒール】 「やった! 出来た……! ネム君どう?」  ネム君の傷は少しずつ塞がっていく。  だが右目の傷だけが塞がらないのだ。  出血は止まった。  だが傷が残っているのと右目の色が白くなっているのが見えた。
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