デート

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「ちいちゃんにお土産買って帰ろうかな」 そう言って、最後にお土産屋さんに立ち寄った。 色々見て回る。 「何がいいかなぁ。」 「何でもいーんじゃねぇの?」 先生は適当に答える。 適当だなぁ。 くすっと笑ってしまう。 歩いて見て回ると、アクセサリーの展示ケースが目に入る。 前にもらったイルカのネックレスを見つける。 「あ!前にもらったよね!これ!」 つい言葉にしてしまった後に、あ、まずい!!と思ってしまった。 このネックレスには、あまり良い思い出がない。 校内で見つかって、美咲さんにゴミ箱に捨てられたんだ。 そのあと必死に探して、結局手元には戻ってきたんだけど、、、。 つい、美咲さんを思い出してしまう。 「あー、そういえばやったな。」 先生はそんなこと全く気にしていない様子で、 「値段見んなよ」と、足早に過ぎ去ろうとする。 私にとって、美咲さんとの一件はとても苦い思い出だ。 先生は違うのかな。 そうじゃないのかな。 もう過去の事だから、いいんだけど。 足早に過ぎた先生の後を追っかけた。 「そーいや、まだ持ってるのか?。さっきの。」 先生が私に聞く。 「もちろん!。持ってるよ!」 ゴミ箱から取り戻したネックレスは、今は大切にアクセサリーボックスにしまってある。 「そうか。」 そう言ってふっと笑う先生。 先生にとっても美咲さんは過去になっているのかな。 先生は私の手を繋いで歩き出す。 過去を振り返っても仕方ない。 今いる先生を信じてついていくんだ。 気持ちを切り替えて、お土産を選ぶ私。 ちいちゃんには、お菓子と可愛いボールペンを買って、水族館を出た。 外は雨が止んでいて、晴れ間が覗いていた。 「楽しかったね!!」 「そーだな。」 「また来ようね!」 「そーだな。」 2年前とは全然違う今。 先生の気持ちを疑って、信じられなくなって、先生の手を離して、何度も泣いた過去。 自分に自信が無かったからだと、今ならわかる。 好きだと言ってくれた先生の気持ちを、信じきれる自信が、あの時はなかったんだ。 でも今は、違う。 先生の事を信じている。 信じられる自信もあるんだ。 ぶっきらぼうでも、言葉が足りなくても、それでも先生の気持ちはわかっている。 信じられることは、沢山あるから。 この気持ちを忘れないでいたい。 いつまでも、ずっと、、、。 また来たいな。 楽しい一日をありがとう。 雨上がりの太陽が、心を清清しくしてくれていた。
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