デート

3/4
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
ゆっくりと歩きながら、クラゲの展示ベースに入る。 大きな水槽で多くのクラゲがゆらゆら揺れている。 ここの空間は暗くて、フワフワ浮かぶクラゲがとても幻想的に映える。 人通りもまばらになっていた。 大きな水族館だから、人が散ったんだ。 クラゲの水槽の前にはベンチが用意されていて、座ってクラゲを鑑賞できるスペースが設けられている。 「、、、すごい。きれい。」 薄暗い照明に、ライトで光る無数のクラゲの群れに、言葉を失う。 前来た時は素通りした気がする。 ゆっくりこうやってクラゲの群れを見たのは初めてで、目が離せなくなっていた。 水槽の近くでクラゲに夢中になっている私。 後ろのベンチに腰掛けて、「すげぇな」と呟く先生。 ずっと見ていても飽きない。 後ろで座っていた先生が立ち上がって、私の隣にくる。 「きれいだね」 「そーだな。」 先生が、ふっと周りを見回した。 そして、私の名前を呼ぶ。 「響」 「ん?」 顔を上げた私に軽く先生の唇が当たる。 !!! 急に顔が赤くなる私。 慌てて周りを見渡すけれど、誰もいない。 「もう!」 慌てる私をみて、クスッと笑う先生。 こんな場所で不意打ちにキスをするなんて。 先生は余裕な顔をしてるけど。 私は恥ずかしくて、顔から火が吹きそうだよ。 先生に恋する気持ち。 その気持ちは高2の時と変わらない。 ずっと私は先生に恋をしている。 距離が近くなった分、その気持ちはどんどん膨らんでいる。 先生が好き。 誰よりも、先生が大好き。 これからもずっと、自信を持って言えるよ。 自然と繋いだ手は温かい。 ぶっきらぼうだけど、私の事を大切にしてくれているのが伝わる。 「今日はありがとう。すごく楽しい!」 そう伝えると 「そうだな。俺もだよ。」 と、先生は優しく笑った。 とても幸せな気分になったんだ。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!