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夕陽
西からオレンジの光が溢れ、薄まった青空がピンクとオレンジの入り交じったグラデーションを描いている。
ピンクから深い赤へと染まっていく様子をぼんやりと眺めながら、ふと不思議なことに気付いた。
いつもならその後に訪れる闇色が。
……一片も見えない。
深紅の炎のような赤がじわりじわりと空に燃え広がっていく。
ズキズキと何故か頭が痛む。
……僕は今、どこにいる……?
何故か、鼓動が強く、早く打つのを感じた。
確か。
人通りの少ない線路沿いを歩いて……。
突如。
ガンっ!
頭に強く、鈍い衝撃が走った……。
直後、パタパタと足音が遠ざかっていくのを聞きながら。
背中に硬く冷たいコンクリートを感じながら、鉄錆びの匂いを帯びた赤が空を多い尽くすのを成す術がないまま、僕はただひたすら眺める。
ああ……。
意識が薄れていく……。
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