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(あれ…、今何時だっけ…)
時計を見ると3時半。カーテンの隙間からは暗いベランダが見えた。まだ夜中だ。朦朧とした意識の中、ベビーベッドをのぞくと愛しの娘はまだ目を閉じて眠っていた。
「私の赤ちゃん……」
ぷっくり膨れた娘の頰に唇を寄せる。まだ眠っていることを確認し、育児日記を開いて前回の授乳記録を確認する。最低でも生後3ヶ月までは1日の授乳とオムツを交換した回数を記録しなければならない。
私は母乳が出ない体質で、産んだ日から粉ミルクを使っている。母乳の子育ては頻回授乳で、中には30分や1時間おきに授乳をするためまともに眠れないお母さんたちがいるらしい。粉ミルクのおかげか2、3時間も授乳間隔があく私はまだ楽な方なのかもしれない。
(やだ……、4時間も経ってるじゃない)
前回の授乳が午後11時25分と記録されていた。私はすぐに娘の顔色をうかがった。特に問題はなさそうだが、生後1ヶ月経つまでは授乳間隔を3時間以上あけてはいけないとネットの育児コラムで読んだことがあった。私は急いで娘を抱き上げ、縦抱きにして無理やり起こした。するとすぐに娘は目を開け、しゃくりあげるように泣き出した。
「よかったよかった、元気に泣けるなら大丈夫でしゅよー。すぐに飲みましょーね」
作ったミルクはまだ人肌より少し熱く感じたが、この子は少し熱めでも泣かずに飲めることが最近分かったからそのまま唇に哺乳瓶の乳首をあてがった。娘は口から少しミルクをこぼしながらも一生懸命飲んでくれた。
「たくしゃん飲むんでしゅよー」
私の腕の中で目を閉じながら必死にミルクを飲む姿は、本当に愛おしく感じた。
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