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二宮龍生 龍の生き様
在義を最初に、「苛烈」「太陽の塊」と呼んだのは、俺の恋人だった。
在義のことを、怖いと言ったのも。
俺は華取在義とは同い年で同郷の出身。ただし、向こうは少し厄介。
俺は天龍で育ったが、在義は天龍の生まれであるがすぐに遠方の分家に養子に出されている。
うちのジジイが言うには、だが。
ひかるは在義を怖がっていたが、俺にはその理由が理解出来なかった。
ガキの頃から見知っているからか……。
ひかるが怖がる理由はわかっていたが、どうしてそれを、それである在義を怖がるのかは、わからなかった。
在義はだんだん黒ずんでいった。
元から黒いくせに、年を経るごとにそれは濃度を増していく。
ひかるは、たぶんそれに気づいていた。
だから畏怖(いふ)していた。
俺はそんな幼馴染が危なっかしくて、結局同じ進路を歩んでいた。
在義は光の世界の中の、黒い部分だった。
影じゃない。闇じゃない。ただ、黒い部分。
決して白くはなれないそれ。
しかし、光の中でしか生きられない、それ。
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