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   初めて二人きりになった時。  ソファに座った類の隣に腰をかけようとすると、あからさまに類が体を引いて離れた。 「……ごめん。こういうの久しぶりでちょっと。……だんだん慣れるから」  類はバッグを膝に抱えて硬い表情を浮かべる。 「いいよ。無理しなくても。会って2回目でどうこうって方が、普通難しいし」 「無理じゃないけど、ちょっと時間欲しいだけ」 「……分かった。……じゃ、何か話す?プライベートは興味ないって言ってたけど、何か不安あれば」  不自然な距離を挟んで、言葉を待っていると 「ごめん。ひとつ聞いていい?」 類が言った。 「いいよ」 「……皓介って、お医者さん?」 「え?」 「今は分からないけど、隣歩くとほんの一瞬、ツンって病院の匂いする時あるから」
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