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「――颯斗も言うようになったなぁ?!」 俺からの言葉に、後ろを振り向いて赤面していた翔琉はすぐ様いつもの俺様態度を取り戻し、俺の方へと向き直る。 「だいたいな、どう見ても紫澤(アイツ)は腹黒王子だろ?誰が見ても分かるだろうが!何でそんなアイツの前で気を許して笑うんだよ?!」 そう言って、今度は俺の両肩を勢い良く掴んだ。 「ちょっと、痛いです!! それに紫澤様は、腹黒王子じゃないです……優しくて気遣いのできる方です!」 思わず俺は、翔琉へと反論する。 「……颯斗、お前本当に大真面目で優しいヤツだな……まぁ、そこが惚れた理由の1つだけど。ところで、ドラマのエンドロールの後の展開知りたくないか?」 小さな溜息を付いた後、翔琉はこれ以上紫澤の話しをしたくないとばかりに、最初の話題となっていたドラマの話しへと強引に戻す。 「あ、はい」 すっかりいつもの調子へと戻っていた翔琉に、俺は1人こっそり胸を撫で下ろしていたのだった。 俺と翔琉の距離感は、出会った頃から多分これ(、、)が正しいんだ。 紫澤との距離感も確かに心地好かったが、自尊心を満たす為だけに人を好きになるのはやっぱり何か違う。 今だからこそ、翔琉の言葉を聞いたからこそそう思えた。 “好き”って、きっと独りよがりじゃ成立しなくて。 翔琉の強引な行動は常に俺の心を掻き乱すけれど、思い返せばいつだって必ず全力で“好き”をぶつけてくる。 それは、紛れもない事実だ。 ようやく俺は、そんな翔琉の強引の裏に隠された真実の思いに気が付き、疑心暗鬼の気持ちが徐々に消失していくのを感じていく。 そして、この後翔琉の口から告げられるドラマの真の結末も、自然と穏やかな気持ちで聞く準備が整っていったのだった――。
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