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 足元まで延びてきた数字の『1』を俺は踏みつけた。 「カーストではな、ふさわしくない奴が、自分より上にいて調子に乗ってるほど不愉快なことはないんだよ」 「何を言ってるんだ……オレたちは……」  『オレたちは仲間だ。友達だ。対等で平等だ』お前が言いたいのは、いつものそんな言葉だろう。付き合い始めた頃にはその言葉にうまくコントロールされてたよ。耳障りが良いからな。しかしもう騙されない。 「お前は個人情報の管理が緩いんだよ。まさか同じ高校だったなんてな」  俺たちは日本の各地から強制的に集められ、お互いに素性を隠して活動してきたし、それがルールだった。  お前は単純で失敗も多かったが、張り切り様は凄かったな。  今思えばアレだ。平凡なモブキャラ主人公が異世界へ行ったらヒーローになっていて大活躍。世間からは持て囃されて……、そんな状況を楽しんでいたんだろう。  それも当然だった訳だ。  現実のお前は成績も振るわず、スポーツも苦手でパッとしない地味な底辺野郎だったんだからな。  だけど俺は違った。子供の頃から児童会長も生徒会長にも推薦され、全国一斉テストでも常に上位。運動神経もあれば人望も充分な人間だ。リアルの自分のままで充実した日々を送れていたんだよ。  そんな俺がよりによって、正体を隠して働き、更にお前の引き立て役に甘んじるなんて全く面白くなかった。  そんな時だ。お前はうっかり自分の個人情報を俺に漏らしたんだよ。タイミング悪すぎだ。  痙攣もおさまり、すっかり動かなくなったその腕からブレスレットを外した。 「今日からこれは俺のものだ」
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