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今夜も君の夢を見る
「別れよう」
急に教室に呼び出してきた彼氏に私は突然そう言われた。
聞きたくなかったその言葉。
君から言い寄ってきたくせに。
数日前まで、浮気しないでだの何だの言ってたくせに。
君の愛はそんなものだったのか。
文句がたくさん頭に浮かんできたが、言わない。
罪悪感を抱かせないように、
たくさん、たくさん考えたけど口に出たのは、
「うん、わかった」
そう言って私は笑顔をつくる。
「ホントに。ごめん」
謝らないでよ。
嫌いになれないでしょ。
「いいよ。実は最近冷めてきてたんだよ」
嘘。大好き
今も、多分これからも。
「だから気にしないで」
そんな顔しないでよ。
傷ついてるのはこっちだよ。
きっと君は優しいから、罪悪感でいっぱいなんだろうな。
「今まで、ありがとう」
別れたくないよ。
ずっと君と一緒にいたいよ。
「できれば前みたいに、友達になってくれると嬉しいな」
嫌だよ。友達なんて嫌だ。
ずっと君の恋人でいたいよ。
「うん」
君はそう言って去って行った。
「ああ、終わっちゃったな」
私は1人取り残された教室で、大粒の涙を流した。
もう、慰めてくれる人はいない。
もう、私の隣には誰もいない。
もう、私のものではない君。
もう、一生私を愛してはくれないだろう。
どんなに君に嫌われても、
どんなに君がクズでも、
君を嫌うことはできない。
君への恋心はどうやって捨てたらいいのだろうか。
君を忘れることができない。
君が私の夢を見る夜はもう来ない
それでも
私は今夜も君の夢を見る
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