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私の記憶の中にいる17歳のキミ
初めての恋は
遠距離だったけど満たされた日々
優しい雨の降る夜
好きな人を駅で見送る
何度も振り返る彼が
本当に好きだった
1人の帰り道
傘もささずに静かに歩く
ふと名前を呼ばれた気がして振り返る
そこには誰もいなくても
心が暖かった
「俺を好きと言わないのはなぜ?」
いくつかの春にキミが苦しそうに聞いた
なぜだろう
言わなくちゃいけないのだろうか
そんなことを思っていたけれど
紡げない言葉
離された手が終わりを告げる
少し離れた場所からキミを見送る
振り返れば
あの道にもあの場所にも
あの公園にもあのレストランにも
思い出は鮮やかにあり
私を何度も後悔に誘った
頬に落ちる冷たい雨
身体をするりと滑り落ちる雨
音に紛れて
キミの声で名前を呼ばれた気がした
何年過ぎても
何人と恋をしても
キミの残像が溢れるこの街に住む限り
なかなか思い出がアンインストールできない
今日はにわか雨
また街にキミの香り
今夜は泣いてもいいかな
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