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ポツポツ。サーっ。
今まで連日降り続いていた雨もやっと止み晴れ間が広がっていたのに突然雨が降ってきた。今日は雨が降らない様子だったのに。梅雨時の天気予報はわかりにくい。
よし。ラッキー。
空を見上げると朝なのに雲はどす黒く、まだまだ止みそうにない。止まない雨のおかげでこれならあの子はやってくる。
昇降口で待っていると、どんどん生徒がやってきた。1人、2人と賑やかになってきた。元気な男子生徒の声が昇降口に鳴り響く。しかし、しばらく待っても隣のあの子はこなかった。
今日はもしかしたら、会えない日なのだろうか。
だが、待ちわびたその時、僕の待ち人が隣にやってきた。可愛い可愛いとても愛らしい僕の大好きな人。
今日こそは、一言思いを伝えよう。そう思ったとき、僕は相棒に外へ連れ出されてしまった。いつも俺のことなんて置いてけぼりなのに、今日に限ってどうして…。
今日こそは伝えようと思ったのに。
白い花柄の可愛らしい姿が遠ざかっていく。僕は暫く役目を果たすこともなく、ずっと置き去りにされていたのに、役割をやっと果たす時に気持ちよく彼の役に立たないのも辛い。冷たい雨に打たれ、視界がぼやけていく。しかし、遠ざかるその姿をまた目に焼き付ける。今度会えるのはいつだろうか。
その子には雨の日しか会えない。
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