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そんな僕の疑問をよそにして、
「そう。悪魔を召喚した事例のほとんどは、実は霊体離脱が原因だよ」
と、芥川助手は不敵に笑った。
「左藤君。悪魔召喚は御香を焚いたり、暗室で行ったり、ロウソクを灯したり、そういう形式を伴うものであることは知っているな」
「はい」
「御香、暗室、ロウソクといえば、思い浮かぶのはなんであるか?」
「それは、……Sエ……ム?」
「違うのであるッ。催眠術であるッ。ロウソクも、暗室も、御香も、そういった一切はすべて催眠術で使われる手法なのだよ。つまり、悪魔召喚の形式うんぬんは全て自己暗示、自身への催眠効果を狙ってのモノだ」
「それって?」
「まあ、本来は悪魔の幻覚を見せて、それで召喚が成立したと誤認させるためのなのだろうけれどね。けれど、ごく稀に行きすぎたケースも存在するのだよ。……催眠効果が、意識を、さらには認識を朦朧とさせるほどに強く出てしまった場合だ」
「そこに霊体離脱が起きると?」
「そういうことだよ。そして、霊体のイメージによる変質は知っているだろう」
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