25人が本棚に入れています
本棚に追加
/91ページ
そうしていると、
「おっす。こんな早くから準備するなんて、やる気あるじゃん」
と、不意にかけられた声に、僕は振り向く。
そこにいたのは細身で背のシュッとした、メガネの女性教諭。ここ神薙学院高校で、常勤として数学を教えている住吉静夏である。
ちなみに静夏は幼稚園から高校まで僕と一緒の幼馴染でもあり、僕がこの高校に非常勤で採用してもらえたのは、彼女が校長に口を効いてくれたことが理由として少なくはない。
「僕は非常勤だからな。オマエと違って、真面目にやらないとすぐにクビになっちゃうんだよ」
「なによ。まるで私が真面目じゃないみたいにッ」
と、ふてくされる静夏。
と、からかってはみたが、静夏は本当に真面目にやっている。
宝塚のようなスタイルで愛嬌が良いものだから、男女問わずに生徒達からの人気も高い。
少しばかり子供みたいなところはあるが、昔から後輩の面倒見がよく、しっかりした性格をしていたのだけれど、そういう性根はとにかく教師に向いていた。
最初のコメントを投稿しよう!